宗教について 〜 人の生と死を考える 注91'

公開: 2023年4月21日

更新: 2023年10月18日

注91'. 技術革新と知識の陳腐化

中世までの世界では、全ての知識は、少しずつ増加はするものの、知識そのものが使えなくなることはありませんでした。例えば、古代ギリシャの数学者がまとめた、「エウクレイデスの原論」は、近代社会になるまで、数学の基礎知識であり続けました。しかし、現在では、「エウクレイデスの原論」を数学の幾何学の基礎として学ぶ人々は、数学の専門を学んでいる専門家でもほとんどいなくなりました。それは、もっと新しい数学の知識が重要になっているからです。

1950年代に、オーストリアから米国へ移民してきた経済学者のシュンペーターは、経済が成長するためには、新しい技術や考え方が生み出され、それを応用した製品や、その生産、そして新しい製品の販売方法が生み出されることで、古いやり方や考え方が、「陳腐化」してゆくと唱えました。これを「創造的破壊」と呼びます。陳腐化とは、その創造的な破壊が起きることで、従来の社会では、当然のこととされていた物事が、古くなり、それでは事業を続けられなくなる状態を言います。経済の専門用語では、社会にこの創造的破壊を起こすアイデアを作り出す行為を、「イノベーション(技術革新)」と呼んでいます。

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